癌になったおとーとわたしと

癌になったと聞いて、残そうと思ったことを書くことに決めた。

5年前の入院①

前にもおとーは我慢しすぎて入院したことがあった。


5年前の年末に、体調が悪くてしゃっくりも止まらず愛犬に吠えられ、ご飯もそんなに食べられず薬とドリンク剤を飲ませたけど朝方に嘔吐したみたいだとおかーから教えてもらい、さっさと病院連れて行けと姉妹でおかーを捲し立てた。


そもそも仲が良くない両親なので会話もぶつかって成立せず喧嘩腰になるから、ちゃんと原因見てもらって治さないと年末帰省してもみんなで美味しくご飯食べられないよ!とおとーに個人的にLINEもしたが未読からの次の日も既読スルーだった。


そんな目に見えて体調が悪いなんて初めて聞いたから家族みんな焦っていた。次の日おかーは病院に連れて行き、その結果は胃腸炎との判断で点滴を打ってもらい薬ももらってだいぶ落ち着いたということだった。

年末の帰省の時にはそこまで弱っている印象はなく、回復してきているんだろうと思っていた。


おとーはその年に定年退職を迎え自由に生活をしていた。山にいって山菜採りや川釣り、家の裏に小さい畑も作って野菜も植え始めた。しかし、そこまでアクティブアウトドアではないおとーの生活の大半は、ほぼほぼ家にいて映画を見るか姉ちゃんに買い与えられたiPadの大画面で畑のゲームをするか昼寝か食べるか飲むかだった。見るからに痩せていきどんどん老け込むおとーに危機感を感じてはいた。


半年後におかーからおとーが入院したという速報が入った。胃と十二指腸に小さい穴があいていると診断された。あの年末のしゃっくりは、穴が空いているところから空気が横隔膜を刺激してのしゃっくりだったということもわかった。


2週間は食事はできず点滴で、手術はせずに薬と自然治癒で治すということだったが、定年退職後、ただただ家にいるおとーにそんな体力があるのかと思った。


本当に大丈夫なのかととてつもない不安に駆られ、姉妹を代表して急遽帰省することにした。顔を見たかったし、緊急で帰ってくるほど心配させているとわかってほしかったのだ。